いちごのトップシーズン

先日、昭和50年代に購入したお菓子の本を出してきて見ていたら、いちごショートケーキのいちごが、上にのっているトッピングだけということに気づきました。クリームを挟んだケーキの間に入っているのは、スライスしたバナナや缶詰の桃。今はケーキの間にもスライスいちごが入っているのが当たり前だけれど、当時は違ったんですね。いちごはある種ぜいたくな果物で、いつでもどこでも買えるわけではなかったことを思い出します。

今や、冬から初夏までかなり長い間出回るようになったいちご。つい本当の旬を見失いがちですが、実は4月の現在が、いちごがダントツにおいしいトップシーズンです。フランス人は旬のいちごを加工して食べることも多いのですが、4月の到来とともに我が家でも「いちごスイッチ」がオンになり、ジャムやシロップ、丸ごと焼き込んだケーキなど、いちご加工品の製造に忙しい毎日を過ごしています。

前回、旬を迎えた野菜のおいしさの話をしましたが、果物ももちろん同じ。ハウス栽培ではない露地もの、「作られた」いちごではない「育った」いちごを、満喫するならまさに今! 4月のいちごは香り高く、値段も当然、3月までよりずっと安い。ひと山いくらの小粒のものにも、旬のいちご本来のジューシーなおいしさがたっぷり詰まっています。見つけたら、ぜひケーキに焼き込んだり、さっと煮てコンポートにしたりして、存分に味わってください。

そういえば、最近のいちごは本当に甘くなりましたね。ある年齢以上の人は昔、いちごをつぶしてお砂糖とミルクをかけて、混ぜて食べていたことを思い出しませんか? きれいなピンクに染まったミルクと、とろりとした甘いいちご、懐かしい郷愁の味ですが、あの食べ方にも実は理由がありました。昔のいちごは今ほど甘くなかったので、しっかりつぶして真ん中まで砂糖をなじませないと、酸っぱくて食べられなかったから。甘い練乳をかけて食べる習慣も、同じ理由です。

品種改良の賜物といえる大きくて甘いいちご、立派なブランドいちごを楽しめる今は、本当にぜいたくな時代。その幸せを味わうのと同時に、名もなきトップシーズンのいちごのおいしさもぜひお忘れなく!と、声を大にして言いたいのです。

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