季節野菜を食べよう

雑誌の料理特集の撮影を行うのは、たいてい発売の2、3ヶ月前。撮りおろしの単行本だと半年前ということもあります。だから旬の野菜を使えることはほぼなく、年末に山菜の天ぷらを作ったり、早春にゴーヤチャンプルーを作ったりするのも普通です。先日も、冬のキャベツを使って春キャベツの料理を作りましたが、見た目はなんとか春キャベツに見せることができても、目に見えないところで実は結構手こずるのです。それは、素材に含まれる水分量が違うので、レシピの加熱時間を出すのに手間がかかるため。最近やっと春キャベツが出てきましたが、シーズン真っ盛りの野菜はやっぱり全然違うなぁ、と季節が変わるたびに思います。
トップシーズンの野菜は圧倒的においしい。常々食材を扱っているので、その違いはよくわかります。時期のずれた野菜は、旬のものに比べるとのびのび育っていない窮屈さがあって、残念ながらおいしさ2割減くらい。人間が無意識にキャッチしている季節感や体調ともいまひとつフィットしないのも理由かもしれません。今お店に並んでいるパクチーやしそはおとなしく、まだあの弾けるような香りが立っていないですよね。

たとえば春の山菜や筍のえぐみは、冬の間に眠っていた体のどこかを目覚めさせ、次の季節への活力をもらえる味わいともいえます。野菜の旬を逃さずに、意識してたっぷり食べていたら、きっと簡単に風邪なんてひかなくなります。日本の四季は本当にすばらしく、うまくできているもので、たらふく食べて少し飽きた頃に、ちゃんと次の旬のものが出てきます。

みずみずしくしなやかで、やわらかく香り高く、本来の味がはちきれんばかりに詰まった旬の野菜は、ゆでたり蒸したりのシンプルな調理で、力みなぎる一品に。今なら春キャベツ、スナップえんどう、絹さや、ふきのとう、たらの芽、うど、ふき、筍などが最高です。新玉ねぎは九州産を見かけるようになってきたので、南北に長い日本ではこれから初夏の北海道産まで順にベストシーズンのものが楽しめますね。新じゃがやそら豆、アスパラガスもしかり。旬を追いかけるのに忙しい、楽しい季節がやってきました。

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