料理のヨーロッパ修行を経験して思うこと

2010/3/29

料理のヨーロッパ修行を経験して思うこと

子供達が将来どんな仕事に就き、どんな生活を送るのか・・・かなりの未知数です。たぶんここ50年ほどを見てもこれほど不透明な今は特別なのかもしれません。そんな話しをするのも、今回ご縁あって、「13歳のハローワーク」(村上龍著 幻冬舎刊)に「料理における海外修行とは・・」と言う題で小さなエッセイを書かせていただいたから。そして、その本が手元に届き、ページを読み進めたから。

がむしゃらに、自分を信じ、やりたいことを突き進み、自分の努力次第で、その方向の中で何らかの手応えを手に入れることが出来た私たちの世代・・。それから比べると、先が見えすぎる今の子供達って・・ちょっと大変なのかも・・とやっぱり思ってしまいます。でも、逆に考えれば、もちろんお金という物がその根底に必要なのかもしれませんが、何になっても、どんな仕事に就こうとしても憚ることなく、その道に進める時代でもありますが・・。 

その昔、女性の大半が、結婚し、子育てしながら家を守っていました。職を得ようとしてもそれは一部限られた職種のみで可能だった時代でした(若かりし頃、フランス料理のレストランに厨房志望で就職のお願いに行ったら、女の子は厨房、サービスなんてとんでもない! クロークなら考えてもいいけれど・・と言われたことが・・今では笑い話ですが・・)。

その後、男女雇用機会均等法ができたのを境に、本当に男女変わりなくどんな仕事にも就くことが可能となりました。女性だって、地元、都会、日本、外国・・どこで働くから始まって、どんな仕事をする、又は仕事はしない。結婚する、しない。子供を持つ、持たない・・すべて本人の思うまま。でもその選択を本人自身が見つけ出さなければいけない。女性ばかりでなく、家を守るというしきたりから解き放されはじめた男性も同じ。今は、どこでも、とのようにでも、何歳であろうとも自由に生き方を選択できる時代なんですね。

20数年前、私は、日本で学ぶには限界のあるフランス料理という物の本質を、知りたく、その環境に浸りたく・・居ても立っても居られなくヨーロッパ修行に飛び出しました。(当時としては、かなりの異端児・・)それは日本では見えない物、知ることが出来ない物がたくさんあったから。味わえない物がいっぱいあったから。(でも、日本が恋しく、でも当時の電話代は50秒、500円・・修行の身には贅沢すぎる金額でした)今は、便利な世の中。ネットを駆使して世界中の情報をあっと言う間に手にすることが出来、世界中の食べ物を入手可能な日本・・・。そんな国で、未知の世界を思いながら、その先で活躍する自分を想像しながら将来を切り開く・・事、たやすいようでいて、実は若い世代にとって過酷なことなのかもしれません。 でも、その情報を元にその先を探しに行くのは、私たちの時代からは計り知れないほど、短期間で多くの物を身につけられるに違いありません。そして、ネット社会を通じてその後もずっとその先と繋がって居られるという幸せな環境を持続できると言うことも・・・。ある意味、羨ましい限りです。

苦しくない仕事なんて、皆無でしょう。でもその先にある充実感、やり甲斐、そして楽しさ。それらを見いだせ、報酬に繋げ、人間らしく生きて欲しいと切に思います。もちろん我が子だけではなく、全部の子供達が・・・。
双子の息子は今月26日で13歳になりました。双子故、小さく産まれた二人に「たくさん食べて大きくなあれ!」と食べさせることが仕事のように、子育てしてきましたが、これからは、大きくなる力を自分でつける時期。「たくさん吸収し、柔軟に、生き抜ける大人になあれ!」と心で思うも、
 結局、母の仕事は しっかり食べさせること!? ぐらいしかないのかな・・・・と、毎日1キロの米を炊く・・13歳の子供の母親 の独り言でした。

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