青い本と赤い本。2冊の『3歳からのおべんとう』

仲良く2冊並んだ、幼稚園児のおべんとうの本。左は、2003年に発売された私の最初の著書『3歳からのおべんとう』、右は、今月発売されたばかりの『続・3歳からのおべんとう』です。
元祖はかれこれ16年前の本ですが、おかげさまで好評をいただいて版を重ね、今出ているものは第20刷。今でも春の入園入学シーズンになると、平積みや棚差しにして並べてくれる書店があり、Amazonのお弁当本ランキングでも、常に上位10位内に入っているようです。大学生のお子さんのいる読者の方から「この本使っていました!」と言われることもあります。本当にありがたいことです。

2003年当時はお弁当の本自体があまり多くなく、ましてや幼稚園児、保育園児のためのお弁当に特化したこの本は、かなり異色だったと思います。またキャラ弁ブームの始まりの頃でもあり、子どものお弁当は夢のある可愛いものでなければ、という考えが主流でした。だから、表紙にブルーを使ったことも、実はちょっと物議を醸したのです。赤やピンクや黄色をちりばめた可愛らしいデザインではなく、さっぱりとシンプルなデザインの青いお弁当の本。内容で重視したのも、可愛らしさよりもリアルさと具体的な解決策。親が作り、子どもが食べる、毎日のお弁当づくりというテーマにおいて、ひとえに「使う人のリアル」に向き合い、きちんと方法論に落とし込むことを追求しました。

16年も経った後に続編が出るというのはかなり珍しいことなのではと思いますが、今回同じ出版社から発売された赤い本『続・3歳からのおべんとう ひとりでちゃんと食べられる!』は、この仕事で見聞きする、今のお母さんたちのリアルにもう一度向き合って考えた内容になっています。作りおきや冷凍・冷蔵のコツ、4週間分の献立の立て方、小ぶりのフライパン1個で作れるメニューなども盛り込み、より丁寧に、さらにハードルを下げて、簡単に作れるよう工夫しました。手を抜くのではなく、ちゃんとおいしく食べられるお弁当を、負担をできるだけ軽減して作ることにこだわった一冊です。

そんなわけで少し内容が違う、青と赤のおべんとうの本。どちらもお弁当づくりの「コア」をとらえた点では同じです。そして時代は変わっても、おいしいお弁当を作りたい親の気持ちと、全部食べてお弁当箱を空にして帰りたい子どもの気持ちはきっと変わりません。新入園したお子さんのお弁当が始まるのは5月の連休明け。これからお弁当ライフをスタートするお母さんやお父さん、ぜひ2冊を見比べてお好きな方を選んで、お休みの間にお弁当づくりのウォーミングアップをしてみませんか?

続・3歳からのおべんとう ひとりでちゃんと食べられる!

上田淳子著
2019年4月21日発売 文化出版局刊 ¥1,500+税
3歳の子どもにとって幼稚園のおべんとうは、親の補助なしで、はじめて一人で食べるごはんです。見た目のかわいらしさより、最後まで残さずきれいに食べて「ごちそうさま」が言えるおべんとうは子どもにとって最高のごちそうです。この経験の積み重ねが、子どもの自信や自己肯定感をつけてくれるのです。本書では、2003年に出版された「3歳からのおべんとう」に続いて、無理なく、息切れせずにつくれることを基本にしますが、15年前に比べ、より簡単な調理が求められていることをふまえ、今の時代に合わせたアイデアとコツを紹介します。

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最新情報、4月15日号

Category: What's New?

平成もあと2週間ほど。新しい時代の幕開けももうすぐですね。
毎月15日に、上田淳子の活動の最新情報をまとめてお知らせしています。

雑誌掲載
4月12日発売『HERS』5月号(光文社)特集「私を整える朝」
15年使っている鉄瓶とともに朝の過ごし方をご紹介しています
4月17日発売『オレンジページ』5/2号(オレンジページ)
特集「青菜炒めの達人になる」
4月21日発売『きょうの料理 ビギナーズ』5月号(NHK出版)
「ハレの日ごはん」連載中!

書籍発売
4月21日発売『続・3歳からのおべんとう ひとりでちゃんと食べられる!』(文化出版局)

TV出演
4月23日(火) NHK総合「あさイチ」出演予定です

イベント
4月16日(火)【満員御礼】コトラボ阿佐ヶ谷にてフレンチ家庭料理教室開催

次回のお知らせは5月15日の予定です!

いちごのトップシーズン

先日、昭和50年代に購入したお菓子の本を出してきて見ていたら、いちごショートケーキのいちごが、上にのっているトッピングだけということに気づきました。クリームを挟んだケーキの間に入っているのは、スライスしたバナナや缶詰の桃。今はケーキの間にもスライスいちごが入っているのが当たり前だけれど、当時は違ったんですね。いちごはある種ぜいたくな果物で、いつでもどこでも買えるわけではなかったことを思い出します。

今や、冬から初夏までかなり長い間出回るようになったいちご。つい本当の旬を見失いがちですが、実は4月の現在が、いちごがダントツにおいしいトップシーズンです。フランス人は旬のいちごを加工して食べることも多いのですが、4月の到来とともに我が家でも「いちごスイッチ」がオンになり、ジャムやシロップ、丸ごと焼き込んだケーキなど、いちご加工品の製造に忙しい毎日を過ごしています。

前回、旬を迎えた野菜のおいしさの話をしましたが、果物ももちろん同じ。ハウス栽培ではない露地もの、「作られた」いちごではない「育った」いちごを、満喫するならまさに今! 4月のいちごは香り高く、値段も当然、3月までよりずっと安い。ひと山いくらの小粒のものにも、旬のいちご本来のジューシーなおいしさがたっぷり詰まっています。見つけたら、ぜひケーキに焼き込んだり、さっと煮てコンポートにしたりして、存分に味わってください。

そういえば、最近のいちごは本当に甘くなりましたね。ある年齢以上の人は昔、いちごをつぶしてお砂糖とミルクをかけて、混ぜて食べていたことを思い出しませんか? きれいなピンクに染まったミルクと、とろりとした甘いいちご、懐かしい郷愁の味ですが、あの食べ方にも実は理由がありました。昔のいちごは今ほど甘くなかったので、しっかりつぶして真ん中まで砂糖をなじませないと、酸っぱくて食べられなかったから。甘い練乳をかけて食べる習慣も、同じ理由です。

品種改良の賜物といえる大きくて甘いいちご、立派なブランドいちごを楽しめる今は、本当にぜいたくな時代。その幸せを味わうのと同時に、名もなきトップシーズンのいちごのおいしさもぜひお忘れなく!と、声を大にして言いたいのです。

季節野菜を食べよう

雑誌の料理特集の撮影を行うのは、たいてい発売の2、3ヶ月前。撮りおろしの単行本だと半年前ということもあります。だから旬の野菜を使えることはほぼなく、年末に山菜の天ぷらを作ったり、早春にゴーヤチャンプルーを作ったりするのも普通です。先日も、冬のキャベツを使って春キャベツの料理を作りましたが、見た目はなんとか春キャベツに見せることができても、目に見えないところで実は結構手こずるのです。それは、素材に含まれる水分量が違うので、レシピの加熱時間を出すのに手間がかかるため。最近やっと春キャベツが出てきましたが、シーズン真っ盛りの野菜はやっぱり全然違うなぁ、と季節が変わるたびに思います。
トップシーズンの野菜は圧倒的においしい。常々食材を扱っているので、その違いはよくわかります。時期のずれた野菜は、旬のものに比べるとのびのび育っていない窮屈さがあって、残念ながらおいしさ2割減くらい。人間が無意識にキャッチしている季節感や体調ともいまひとつフィットしないのも理由かもしれません。今お店に並んでいるパクチーやしそはおとなしく、まだあの弾けるような香りが立っていないですよね。

たとえば春の山菜や筍のえぐみは、冬の間に眠っていた体のどこかを目覚めさせ、次の季節への活力をもらえる味わいともいえます。野菜の旬を逃さずに、意識してたっぷり食べていたら、きっと簡単に風邪なんてひかなくなります。日本の四季は本当にすばらしく、うまくできているもので、たらふく食べて少し飽きた頃に、ちゃんと次の旬のものが出てきます。

みずみずしくしなやかで、やわらかく香り高く、本来の味がはちきれんばかりに詰まった旬の野菜は、ゆでたり蒸したりのシンプルな調理で、力みなぎる一品に。今なら春キャベツ、スナップえんどう、絹さや、ふきのとう、たらの芽、うど、ふき、筍などが最高です。新玉ねぎは九州産を見かけるようになってきたので、南北に長い日本ではこれから初夏の北海道産まで順にベストシーズンのものが楽しめますね。新じゃがやそら豆、アスパラガスもしかり。旬を追いかけるのに忙しい、楽しい季節がやってきました。

最新情報、3月15日号

Category: What's New?

日に日に春めいてきました。もうすぐ桜の季節ですね。
毎月15日に、上田淳子の活動の最新情報をまとめてお知らせしています。

雑誌掲載
3月21日発売『きょうの料理 ビギナーズ』4月号(NHK出版)
今号より、連載「ハレの日ごはん」が始まりました!
3月25日発売『暮しの手帖』99号(暮しの手帖社)
特集「手作りハム&ソーセージ」
4月2日発売『オレンジページ』4/17号(オレンジページ)
献立ブック「Today’s Cooking」

TV出演
4月8日(月) 8:15〜9:54 NHK総合「あさイチ」料理コーナー「みんな! ゴハンだよ」

次回のお知らせは4月15日の予定です!

『かんたん仕込みですぐごはん』の活用方法

今回は、3/2発売の新刊『仕込みと仕上げ合わせて最短10分! 帰りが遅くても かんたん仕込みですぐごはん』のお話をします。

この本は、保育園児の母である編集者、中学生の母であるライターさん、そして私の3人の「働く母チーム」で作った一冊です。一年365日、働きながら毎日のごはんを作らなければならない人たちのために役立つお料理の本が作れないだろうか? そういう人たちのためには、何が一番役に立つのだろう? と議論を重ねました。

毎日忙しく、時間がないところで作らなくてはならない、時短メニューも作りおきもひと通りやってみた。でも何かいまひとつ決め手に欠ける……最もバタバタする時間帯、夕方〜夜の作業をラクにするには、という切実な問題を考え、「レシピを分割」することを思いつきました。ひとつの料理の作り方を、前半と後半に分けるのです。つまり、朝のうちに先にやっておく作業=「前仕込み」と、夕方から夜の帰宅後にする作業=「後仕上げ」です。

どこで分けるとおいしくできて、しかもわかりやすいか? も重要なポイントでした。これは時間だけではなく作業の内容に関わるので、料理によってかなり異なります。研究した結果、「前仕込み」と「後仕上げ」のボリュームの比率を、以下の3種類に決めました。
「前2:後8」 前仕込みが軽め、後仕上げがしっかりめの料理。朝忙しく、夜ある程度時間があるときに。
「前5:後5」 朝も夜の作業量がだいたい半々に分けられる料理。
「前8:後2」 前仕込みをしっかりめにし、後仕上げは火を入れるなどですぐできる料理。帰ったらすぐに食べたいときに。
比率が8のほうでも、短いものはたった10分、長くても20分程度なので、どうぞご安心を。

本のタイトルを考えるときに「分割レシピ」「リレーレシピ」「シェアレシピ」などの案も出たのですが、この本を使いながら、まさに家族でシェアして、リレーしながら料理を作ってもらえたらいいなと考えています。たとえば、前仕込みを終えて冷蔵庫に入れた途中の料理の写真を撮って家族にシェアし、後仕上げのレシピとでき上がり写真を冷蔵庫に貼っておいて、その日、先に帰宅した家族に後仕上げをお願いしてみるのはどうでしょう。これを習慣づければ、お料理が得意でないご家族でも、楽しくごはんが作れるようになるのではないでしょうか。

この4月から保育園にお子さんを預けて仕事に戻るお母さん、毎日のごはん作りに苦労している働く女性たちのごはん作りの道しるべ、そして、転ばぬ先の杖にしていただけたら、うれしいです。

仕込みと仕上げ合わせて最短10分! 帰りが遅くても かんたん仕込みですぐごはん

上田淳子著
2019年3月2日発売 世界文化社刊 ¥1,400+税
週末の作りおきに疲れたら、「かんたん仕込み」でごはんを作ってみてはいかがでしょうか。仕込みといっても、面倒な作業は一切なし。すべて5〜15分でできるので、忙しい朝または前夜でも、苦になりません。「切ってあえるだけ」「さっと加熱するだけ」「レンジでチンするだけ」の副菜や簡単な汁ものも紹介しているので、この一冊で献立が作れます。毎日の晩ごはん作りに奮闘しているみなさんに向けて、双子の子育てと仕事の両立を経験を活かしたアイディアをお届けします。これを活用すれば、料理が本当にラクになります!

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大人世代の「体を大切にする食べ方」

ある程度年齢を重ねてきて、健康を保ち、体をととのえるための「食べ方」があるんだな、とわかるようになりました。

30代後半や40歳を過ぎたあたりから、「この不調、なんだろう」と思うようになり、50代を過ぎて「ああ、もう以前とは違うんだな」と気づく。その10〜15年を乗り切るために、美容や運動を心がけることももちろん大切ですが、もしかしたら最も気をつけるべきは、食習慣の見直しなのではないかと思うのです。徹夜をしたり、1日1食や2食のいわゆる「ため食い」や、たまのごほうびにたくさん食べたり飲んだり……などということをしても、駆け抜けてこられた若い頃。でもある程度の年齢になると、体に栄養を「コンスタントに与える」ことが、実は自分の健康のためのいちばんのごほうびになるのではないでしょうか。

私自身、朝食をきちんと食べていたのはいつだろう? と考えると、それは学生時代にまで遡ってしまいます。社会人になるとコーヒーと何かをつまむだけとか、家で仕事をするようになっても、栄養バランスのよい朝ごはんとお昼ごはんを意識してとっていたとは言えないのが事実。それでも「1日3食食べる」ことだけはなんとか守っていて、そのおかげで健康体を保つことができていたのかなと思います。でも、周囲の若い人たちに聞いてみると、1日2食はざらで、下手すると1食だけしかきちんと食べない、という人、特に女性がとても多いんですね。子育て中のお母さんや仕事を持つ女性が、そんな食べ方で大丈夫かな……と心配になります。

どんなに忙しくても、ダイエットが気になっても、食事を抜くとか、「○○だけ」という食べ方にいいことはありません。たとえば、それほど難しくない、こんな2つのルールを守ってみるのはいかがでしょう。
1. さほど体に悪くないものを、1日3度ちゃんと食べる
(控えめに言っています。「体にいいもの」ならもちろんベスト!)
2. 毎回の食事に、「炭水化物」「蛋白質」「野菜か果物」の3種類を含める

3度食べることを習慣づければ、ドカ食いになることはありません。忙しい朝なら、「パンと卵と果物」「シリアルとヨーグルトと果物」「ごはんと納豆とミニトマト」「ごはんとかまぼこと白菜の漬物」でじゅうぶん。「マドレーヌとカフェオレと果物」でも、ちゃんと3種類入っています。グリーンスムージーも、バナナとはちみつを入れれば3種類。もしお昼ごはんにおにぎりしか食べる時間がなくても、買ってきたサラダや野菜ジュース、チーズちくわでもいい、3種類揃うように組み合わせを工夫して、この最低限のルールを守ってみてください。それが実は健康と美容によく、体のためにもいちばんのごほうびになる、というのが、歳を重ねた私の実感です。

自分の体はもちろん、子どもたちにも「1日3回ごはんを食べる」習慣をすり込んであげることは、嫌いな野菜を食べさせたり、好き嫌いをなくしたりすることより、もしかしたら大切なことかもしれません。コンスタントに食べて、自分で自分の体をケアできる大人に育てるのも、親が与えてあげられる重要な習慣づけなのだと思います。

来月2日に開催される、素敵に歳を重ねる世代のためのセミナー「Aging Gracefully フォーラム 2019女性の健康と美を考える」に参加し、「食べてカラダを整える AG世代の健康レシピ」というテーマでお話をさせていただくのですが、今そんなことを考えながら、当日に臨みたいと思っています。ご興味のある方は、ぜひ聞きにいらしてくださいね。(詳細はこちらへ。2月20日までお申し込みができます