夏の和食に合うワイン

蒸し暑い季節の到来ですね。私はもともとワインが好きで年中よく飲むのですが、夏のお気に入りはなんといってもソーヴィニョン・ブランです。このぶどう品種のもつ、ほどよい酸味とミネラル感、さわやかですっきりした果実香は、日本の蒸し暑い気候にとてもフィットします。私自身、夏の食事のお伴はソーヴィニョン・ブラン1色と言っても過言ではないほど。このぶどう品種の魅力はほかにもあって、いわゆる「グラン・ヴァン(銘醸ワイン)」に使われる品種ではないので、フランス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の各産地のワインが、どれも比較的買いやすい価格帯で手に入ります。

代表的なのはフランスのロワール地方。サンセールやプイィ・フュメなどが最も有名ですが、その周辺にもおいしい白ワインを作る村がたくさんあり、私はこの地域が世界のソーヴィニョン・ブラン種ワインのトップだと思っています。有名なボルドーワインの白もソーヴィニョン・ブランがベースで、これもとても魅力的。また、最近とてもおいしくなっているオーストラリアやニュージーランド産のソーヴィニョン・ブランは、フランス産とはまたちょっと違ったトロピカルで華やかさのある香りと味わいが特徴です。価格も親しみやすく、1000円台でかなりおいしいものが買えるようになっています。

そして、これらの白は日本の食事、特に、夏に食べる和食にとても合わせやすいのです。試しに、薬味をたっぷり添えた豚しゃぶやゆで豚、冷奴、それから鶏天、焼き魚、鯵のマリネ、あっさりめの南蛮漬けなどに合わせてみてください。みょうがや大葉などの薬味やポン酢などの柑橘系の酸と、ソーヴィニョン・ブランのもつ酸味が、意外なほどぴったりくることに驚かれると思います。今度ワインを買いに行くとき、ぜひソーヴィニョン・ブランを探して、そして和食に合わせてみてください。とても楽しいですよ!

最新情報、6月15日号

Category: What's New?

6月も半ばとなり、梅雨真っ盛りの季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
毎月15日に、上田淳子の活動の最新情報をまとめてお知らせしています。

雑誌掲載
5月25日発売『暮しの手帖』100号(暮しの手帖社) 
特集「16人のくり返しレシピ」
6月1日発売『オレンジページcooking 夏』(オレンジページ)
特集「自家製 冷凍カレーの作り置き」
6月7日発売『大人のおしゃれ手帖』7月号(宝島社)
特集「健康増進赤身肉レシピ」
6月21日発売『きょうの料理 ビギナーズ』7・8月号(NHK出版)
「ハレの日ごはん」連載中!
7月9日発売『栄養と料理』8月号(女子栄養大学出版部) 
特集「つめたいおやつ」

次回のお知らせは7月15日の予定です!

6月は梅仕事でスタート

日本の家庭には、昔から作り続けられてきた伝統の保存食があります。季節ごとに自然の恵みを保存して、長期間楽しめるように工夫する暮らしの知恵。これから旬を迎えるのは梅、新しょうが、らっきょうですが、これら「3点セット」のうち、梅は特にさまざまな使途があります。果実の保存食はトップシーズンにしか作れないものなので、旬の時期にぜひトライしていただけたら、と思います。

梅を使った保存食といえば、何が思い浮かびますか? 梅干、梅酒、梅みそ、梅ジャム、梅シロップ……いろいろありますが、私は、初心者の方がいちばん気軽にトライできるのは梅酒だと思っています。たとえば、梅干を家庭で作るには実際かなりの手間がかかりますし、しっかり塩分を効かせないと保存が難しいため、今主流となっている減塩タイプや甘みを加えたものを作るのは至難の技。昔ながらの塩っぱい梅干も、それはそれでおいしいものですが、なかなか気軽に作るという感じではないですね。

その点、梅酒は材料もプロセスもとてもシンプルです。保存瓶に梅と氷砂糖を交互に入れてお酒を注ぐだけで、夏の終わり頃にはエキスが滲み出たおいしい梅酒に。ポイントは瓶も梅もきれいに洗ってしっかり乾かすことだけ。瓶はアルコール度の高いお酒か酢で内側を拭いて乾燥させ、梅はヘタをきちんと取り除いてくださいね。3、4ヶ月後から飲めますが、できたら半年以上おいたほうがおいしいので、我が家では毎年、次の年に飲む梅酒を仕込み、保存瓶の中の梅酒が残り少なくなった初夏、それを別の瓶にあけて、また新しく作るというペースで20年以上楽しんでいます。今年からは大学生の息子が仕込み係になりました。

果実酒用のブランデーやホワイトリカーのほかに、日本酒で仕込む梅酒もおいしいものです。梅1kg、日本酒1升、氷砂糖600〜800gくらいの割合で、作り方は同じ。日本酒ベースの梅酒は割らずにそのままかロックで飲むのがおすすめです。お酒が飲めない人は梅と砂糖だけで作る梅シロップもいいですね。また梅酒に浸かっていた梅は、写真のような梅酒ゼリーに仕立てたり、刻んでフルーツケーキに焼き込んだりしても楽しめます。小さな可愛い青梅が出てきた今が作りどき。初めての方もぜひ、楽しい梅仕事にトライしてみてください。

J-WAVE「Good Neighbors」オンエアリンクのご案内

Category: What's New?

本日午後、J-WAVEの番組「Good Neighbors」に上田淳子が出演し、
ナビゲーターのクリス智子さんと、20分ほど料理に関するお話をしました。
そのときのオンエアが5/30までの1週間、
radiko タイムフリーの該当リンクから聴けますので、
よろしければお聴きになってみてください!

新しいおいしさの見つけ方、料理本の新しい使い方

来月、出演が決まっているNHK「きょうの料理」で、和の薬味を洋の料理に使うレシピをご紹介することになっています。「薬味たっぷり簡単おかず」というテーマで、和食、洋風料理、エスニック料理を3人の料理研究家がそれぞれ担当する予定で、私はその中の「洋」の担当。洋風のハーブではなく日本の薬味を使うのがポイントで、みょうがやしょうが、ねぎや大葉を、洋風の料理においしくマッチさせるには?というのが命題です。

でも考えてみれば、洋のハーブも和の薬味も使い方はほぼ一緒。洋風おかずに和の薬味を使っても、逆に和風のおかずに洋のハーブを使っても、おいしいものはできるはず。常日頃からそう思っていたので、とてもやりがいのあるオーダーをいただいたとうれしく感じました。

しょうがを効かせたラタトゥイユ、大葉をたっぷり入れたチキンとポテトのアーリオオーリオ、薬味を刻んで入れたタルタルソースなど、少し頭を柔らかくしてみれば、いろいろな組み合わせが考えられます。とはいえ何でもかんでも組み合わせられるわけではないので、合うか合わないか、おいしくなるかならないかは、小さなチャレンジを続けて試していく必要があります。そんな時間から、思いもかけない新しいおいしさが生まれてきます。

そこで思ったのが、読者のみなさんは普段、料理本をどんなふうに使われているのかな、ということ。もしかしたら家庭における料理って、本に載っているレシピを一から読んでその通りに作るか、あるいは本は一切使わず、ある素材を焼いたりゆでたりして味付けするだけか、その両極なのでは?という気もします。そこにちょっとしたチャレンジ、小さな冒険心を入れていく余地があれば、食卓はもっと豊かになるのではないでしょうか。

料理本から覚えたお気に入りのレシピがあったとして、必ずその材料だけで作らなければいけないわけではありません。冷蔵庫にちょっと残っているあの材料、加えたらどうだろう?と考えてみると、ちょっとした頭の体操になります。料理本は、掲載したレシピをできるだけ多くの皆さんに作ってもらいたいと、料理研究家や料理編集者が情熱を込めて、使命のもとに編集しています。そんなプロのナビゲーションを上手に利用して、そこに自分の意見をちょっとのせて、楽しんでみるのもまたひとつの方法だと思います。

そう、ときには料理本を「ネタ帳」と思って眺めてみると、何か新しいアイディアが生まれるかもしれません。たとえばファッション誌を見るときは、コーディネートは参考にするけれど、上から下まで同じものを揃えるわけではありませんよね。自分の持っているアイテムに何か足してこんな雰囲気にならないかな、と考えると思います。そんなふうに「コーディネートのネタを拾う」利用法で料理本を眺めてみると、おいしい料理への近道が、またひとつ見つかるのではないでしょうか。

最新情報、5月15日号

Category: What's New?

令和になってはや2週間。よい気候が続く5月後半、いかがお過ごしでしょうか。
毎月15日に、上田淳子の活動の最新情報をまとめてお知らせしています。

雑誌掲載
5月17日発売『オレンジページ』6/2号(オレンジページ)
特集「炒めものの名人になろう!」
5月21日発売『きょうの料理 ビギナーズ』6月号(NHK出版)
「ハレの日ごはん」連載中!

書籍発売
5月22日発売『すぐできる あってよかった 今夜のおかず110 読者と選んだ料理家22人の人気レシピ』(婦人之友社)
読者によるアンケート回答から選ばれた人気レシピで構成された一冊。
全部で6項目の質問中、「急ぐときに助かる時短レシピは?」
「仕込んだら時間まかせのお気に入りレシピは?」の2項目で、
上田淳子のレシピが1位になりました!

ラジオ出演
5月23日(木) J-WAVE「Good Neighbors」(ナビゲーター/クリス智子さん)出演予定
(13:00〜16:30のどの時間帯の出演かは未定です)

TV出演
6月11日(火) 朝日放送テレビ「おはよう朝日です」出演予定
『かんたん仕込みですぐごはん』に掲載している仕込み置き料理をご紹介します。
(関西地区の放映。6:45〜8:00のどの時間帯の出演かは未定です)
6月11日(火) NHK「きょうの料理」出演予定
「薬味たっぷり簡単おかず」、和・洋・エスニックのうち「洋」のおかずを担当します。

次回のお知らせは6月15日の予定です!

平成時代の食、そしてこれから

長い連休、いかがお過ごしですか? 元号が令和に変わった今週、平成を振り返る番組や特集がいろいろありましたが、平成時代に起こった食の変遷を見ていくと、本当に大きなうねりがあったなと思います。
たとえばお菓子の世界ひとつとっても、ティラミスもナタデココもカヌレも、そして2度目のブームのタピオカも、すべて平成になって日本で流行したものです。今普通にお店に並んでいるパプリカやズッキーニ、ドライトマトやポルチーニも、平成になってから気軽に買えるようになったものばかり。有名シェフの料理本が流行し、家庭でフレンチやイタリアンを作るようになったのも、さらに言えばオリーブオイルを一般の家庭で使うようになったのも、この30年間に起こったことで、平成は、家庭料理の世界が豊かに広がった素晴らしい時代といえるでしょう。

その反面、家庭料理のあり方に別の意味の変化も。お母さんがごはんを作って家族の帰りを待つ、という風景がよく見られた昭和時代と違い、男女雇用機会均等法世代が次々と社会人になった平成時代は、女性も社会に出て働くのが当たり前になりました。核家族化もさらに進み、家族が揃って食事をする機会もどんどん減り、4人で囲んでいた食卓が2人に、そして1人に。個食や孤食という言葉が生まれたり、さらには料理が面倒でやりたくない嫌な家事の代表とされたりしたのも平成時代です。

そんな変化があってもゆるぎないのは、ごはんを食べて元気になって、明日を迎えること、一緒に食べる人がいることの大切さ。いろいろな生き方、食べ方があるこの時代を生きる人たちのために、「きちんと食べることを自分で担う」ためにできることを、これからも伝えていけたら、と思います。以前は母から子へ、大人から子どもへ伝えることだったかもしれませんが、今はそれも多様化しているので、誰かが誰かに伝えなくてはなりません。その役目をしっかり果たしていけたらと、帯を締め直すような気持ちでいる時代の変わり目です。次の令和の時代、食の世界がいい意味で成熟していくことを願っています。

青い本と赤い本。2冊の『3歳からのおべんとう』

仲良く2冊並んだ、幼稚園児のおべんとうの本。左は、2003年に発売された私の最初の著書『3歳からのおべんとう』、右は、今月発売されたばかりの『続・3歳からのおべんとう』です。
元祖はかれこれ16年前の本ですが、おかげさまで好評をいただいて版を重ね、今出ているものは第20刷。今でも春の入園入学シーズンになると、平積みや棚差しにして並べてくれる書店があり、Amazonのお弁当本ランキングでも、常に上位10位内に入っているようです。大学生のお子さんのいる読者の方から「この本使っていました!」と言われることもあります。本当にありがたいことです。

2003年当時はお弁当の本自体があまり多くなく、ましてや幼稚園児、保育園児のためのお弁当に特化したこの本は、かなり異色だったと思います。またキャラ弁ブームの始まりの頃でもあり、子どものお弁当は夢のある可愛いものでなければ、という考えが主流でした。だから、表紙にブルーを使ったことも、実はちょっと物議を醸したのです。赤やピンクや黄色をちりばめた可愛らしいデザインではなく、さっぱりとシンプルなデザインの青いお弁当の本。内容で重視したのも、可愛らしさよりもリアルさと具体的な解決策。親が作り、子どもが食べる、毎日のお弁当づくりというテーマにおいて、ひとえに「使う人のリアル」に向き合い、きちんと方法論に落とし込むことを追求しました。

16年も経った後に続編が出るというのはかなり珍しいことなのではと思いますが、今回同じ出版社から発売された赤い本『続・3歳からのおべんとう ひとりでちゃんと食べられる!』は、この仕事で見聞きする、今のお母さんたちのリアルにもう一度向き合って考えた内容になっています。作りおきや冷凍・冷蔵のコツ、4週間分の献立の立て方、小ぶりのフライパン1個で作れるメニューなども盛り込み、より丁寧に、さらにハードルを下げて、簡単に作れるよう工夫しました。手を抜くのではなく、ちゃんとおいしく食べられるお弁当を、負担をできるだけ軽減して作ることにこだわった一冊です。

そんなわけで少し内容が違う、青と赤のおべんとうの本。どちらもお弁当づくりの「コア」をとらえた点では同じです。そして時代は変わっても、おいしいお弁当を作りたい親の気持ちと、全部食べてお弁当箱を空にして帰りたい子どもの気持ちはきっと変わりません。新入園したお子さんのお弁当が始まるのは5月の連休明け。これからお弁当ライフをスタートするお母さんやお父さん、ぜひ2冊を見比べてお好きな方を選んで、お休みの間にお弁当づくりのウォーミングアップをしてみませんか?

続・3歳からのおべんとう ひとりでちゃんと食べられる!

上田淳子著
2019年4月21日発売 文化出版局刊 ¥1,500+税
3歳の子どもにとって幼稚園のおべんとうは、親の補助なしで、はじめて一人で食べるごはんです。見た目のかわいらしさより、最後まで残さずきれいに食べて「ごちそうさま」が言えるおべんとうは子どもにとって最高のごちそうです。この経験の積み重ねが、子どもの自信や自己肯定感をつけてくれるのです。本書では、2003年に出版された「3歳からのおべんとう」に続いて、無理なく、息切れせずにつくれることを基本にしますが、15年前に比べ、より簡単な調理が求められていることをふまえ、今の時代に合わせたアイデアとコツを紹介します。

Amazon販売ページ>>