子どもの力を信じて

一斉休校、リモートワーク、外食や外出も心理的に制限がかかってしまうという、実はこれまであまり経験したことのない今の状況。実は、家庭の食を考えるチャンスかもしれません。同じことが、子どもたちの食との関わりにも言えると思います。

学校や塾、予定していたお出かけや友達との遊び。日々の時間割が変更されて、子どもたちはこれまでになく、家での時間を持て余しているようです。生活リズムを守る難しさや友達と会えないさびしさ、先の見えない不安など、さまざまな要因でストレスがたまっているかもしれません。それでも毎日、ごはんの時間はやってきます。今日、何食べたい?という会話から、一緒に買い物に行ったりキッチンに立ったりする時間を少しでも共有できるといいですね。

前回ご紹介した「おかずチャート」の本は、子どもと一緒に今日食べるものを考え、選び、決めるツールにもなります。鶏むね肉のおかずにこれだけの種類があって、こんなふうにできている、ということが刷り込まれるのは、もしかしたらひとつのレシピを覚えるよりも大きな価値があることかもしれません。中高生なら作れるものばかりなので、親はサポートだけで大丈夫です。

もっと小さな子なら、基本中の基本である「お米を炊く」ことを教えるのもおすすめです。幼稚園以上の子どもなら、きちんと教えれば、炊飯器に研いだお米をセットして、スイッチを入れるまでの作業はできるようになります。子どもの手ではお米を研ぐときにどうしてもこぼしてしまうので、ざるとボウルをセットして渡すなどの先回りのサポートは必要ですが、どうか上手に見守って、たくさんほめてあげてください。

子どもとたまにキッチンに立とうとすると、特別なものを作ろうとしてしまいがちですが、こういうとき、背伸びはしなくていいのです。卵かけごはんやしらすおろしをきちんとおいしく作れることが、大きな初めの一歩になるから。ポイントは、信頼できる基本的なレシピを追って丁寧に作ること、失敗なく、投げ出さずできる料理を選ぶこと。大人が関与せず、一から十まで子どもの手で作れる料理を集めた『ひとりでできる 子どもキッチン』という本もあります。子どもが興味を持ったら、安全に作業できるように注意だけしてあげて、あとは手も口も出さない、気になってしまうならいっそのこと、見ない(笑)。子どもの力を信じて、待っていてあげましょう。親にできることはただひとつ、ほめちぎること。家庭のキッチンで過ごす今の時間が、自分で食事を整えられる能力の第一歩になれば、未来は少し明るくなるのではないでしょうか。

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