「ごはん便」をきっかけに

早いもので年の瀬も近くなりました。年末年始に帰省される方も多いと思います。
今回は、高齢になった実家の親御さんの食事について考える機会になればと思い、先日発売された今年最後の新刊『父と母へのごはん便』(文化出版局)を作った経緯をご紹介します。

2年前の初夏に、『離れている家族に 冷凍お届けごはん』(講談社)という本を出しました。遠くに住む義母が急に入院することになり、すぐに行くことはできなくても義父のために何かできることはないかと考えた末、クール宅急便で送れる冷凍おかずを作ったのが発案のきっかけでした。この内容は親だけでなく、単身赴任のご主人や、家を出て暮らしている学生の子どものための食事としてもニーズがあったようで、12月現在で13刷と版をを重ねています。今回の企画はそれを一歩進めて「同居していない高齢となった親の食生活について、子ども側からできることを考えた一冊」として制作されました。

義父母の一件から、それまで元気だった親が急に倒れたり、入院したりというのは突然起こることなのだと実感。徐々に、ではないのです。たとえばどちらかが入院してしまったとして、残された一人が買い物に行けない事情があったり、気力や食欲が落ちたりすると、こちらが気づかないうちにきちんと食べることから遠ざかってしまっていることもあります。そんな事実をある日突然知ってショックを受ける前に、できることを考えておくのはとても大切だと思うのです。

この本は大きく5つのパートに分かれています。
1. おべんとうスタイルのごはん便:レンジでチンしてすぐに食べられる冷凍弁当。SOSにもすぐ対応できます。
2. ただ包むだけのクイックおかず:火を使わず、食材に調味料をからめてオーブンペーパーで包むだけ。驚くほど簡単で後片付けも楽!
3. 届くとうれしい、小さなごちそう:親世代にとってのごちそうといえば…の洋食や中華メニューを、食べきれる量に小分けして。
4. 親の「自炊力」を応援するアレンジ自在のおかず:ひと手間加えれば牛丼やチキンライスなど一品料理になる、手作りの「おかずの素」。
5. 「あと一品」をフォローする小さなおかず:もう一品欲しいときの、栄養価に優れた副菜いろいろ。

タイトルにもあるように、冷蔵も冷凍もできるのが今回ご紹介したレシピの特色です。自分で届けられる距離に住んでいる親なら、届けたらすぐ食べる分だけ冷蔵庫に入れ、残りは分けて冷凍するのもおすすめ。もちろん、自宅の冷蔵庫や冷凍庫に入れておいて、自分の食生活に役立てることもできます。

相手を思っていることが伝わる、「お元気ですか便」。お届けごはんを始めると、電話での会話内容が豊かになります。どうだった? おいしかった!という会話から、もっと甘めの味つけにしたら?とか、もっと小さく切るといいかもねとか、小さなコミュニケーションが増えていくのです。

離れて暮らす子どもとして、親にしてあげられる最善のことを詰め込んだ一冊。この年末年始、実家に帰ったときにちょっとこんな話をしてみて、時間があればぜひ一緒に、おかずをいくつか作ってみてはいかがでしょう。冷蔵庫に入れて帰ってきたら、すぐに電話やメールで感想が届くかもしれません。

今年も一年間おつきあいくださり、ありがとうございました。みなさま、どうぞ良い新年をお迎えください!

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